活版印刷のような温かみと懐かしさ、レトロで上品なオールドスタイルの明朝体、しっぽり明朝。
小説同人誌の本文フォントに使用する方も多いのではないでしょうか。
しかしながら、しっぽり明朝は感嘆符や疑問符の処理が他のフォントとは異なるため、思い通りの版面を作るにはちょっとした一工夫が必要です。
このページでは、InDesignでしっぽり明朝を使用する場合の字形変更について説明します。
※ここでは、AdobeFontからダウンロードできる「しっぽり明朝」を使用しているため、FONTDASUで配布されているものとは一部字体やUnicodeが異なるかもしれません。
しっぽり明朝の感嘆符と疑問符
しっぽり明朝の場合、デフォルトでは「!」が斜め、「?」が垂直になっています。

しっぽり明朝ならではの魅力でもあり、これはこれでレトロ感があって素敵なのですが、人によって好みは異なるでしょう。
感嘆符を斜めにするか垂直にするか統一したい場合は、それぞれの字形を切り替える必要があります。
ここでは以下のパターンについて紹介しますが、処理する順番を間違えると後で厄介なことになるので、内容は多少前後するものの、あくまでも処理する順番通りに説明していきます。
- 「!?」を縦書き用に修正する方法
- 「!!」を縦書き用に修正する方法
- 「??」を縦書き用に修正する方法
- 「!!!」や「!!!!」を縦書き用に修正する方法
- 「!」を垂直の字体に変換する方法
- 「?」を斜めの字体に変換する方法
テキストや字形を置き換える方法
どのパターンにおいても、テキストや字形を置き換える基本操作は共通です。
まず、画面上部の「編集」タブから「検索と置換」を選択します。

「検索と置換」ウィンドウが出てくるので、テキストや字形を置き換えたいときはここで対象のテキスト、字形を検索して置き換えていきます。
文字や文章を置き換えたい場合
文字や文章を置き換えたい場合は「検索と置換」ウィンドウの「テキスト」タブを使用します。

「検索文字列」には置き換える前の文字(変換元)、「置換文字列」には置き換えた後の文字(変換先)を入力してください。
実際に置き換えるときは、ウィンドウ右側の「次を検索」から変換対象の文字を検索し、「置換」で置き換える、という作業を繰り返していきます。
字形を置き換えたい場合
字形を置き換えたい場合は「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブを使用します。

最初は何も表示されていないと思うので、まずは上部の「フォント」から置き換えたい字形(変換元)を使用しているフォントを選択します。
次に「字形の検索」から該当する字形を選択してください。
字形を検索するときは、プレビューボックスの右側から出ている矢印マークを押し、出てきた一覧から字形を探します。
対象となる字形のUnicodeが分かっている場合は、「ID」欄に直接コードを入力しても構いません。
同様に、下部の「フォント」から変換先のフォントを選択し、「字形の置換」で希望する字形を選択します。
なお、一番下の「検索(S)」では検索範囲を指定することができます。
セクション(章)に絞って検索したい場合は「ストーリー」、ドキュメント全体を検索したい場合は「ドキュメント」を指定してください。
①と同じく、実際に置き換えるときは、ウィンドウ右側の「次を検索」から変換対象の文字を検索し、「置換」で置き換える、という作業を繰り返していきます。
※セクションを分ける方法は、こちらのページで説明しています。
「!?」を縦書き用に修正する方法
しっぽり明朝では、全角で入力した「!?」が自動で縦書き用に変換されません。
源暎こぶり明朝や源暎ちくご明朝だと自動で変換されますが、しっぽり明朝の場合は自分で処理をする必要があります。

「検索と置換(テキスト)」で「!?」を「⁉」に直す
字形の置換は、特定の1文字の字形を置き換えるものなので、全角スペースで入力した「!?」を直接縦書き用の字形に変換することはできません。
そこで、字形を置き換える前に、まずは「!?」を1文字分に置き換えていきます。
「検索と置換」ウィンドウの「テキスト」タブから「検索文字列」に「!?」、「置換文字列」に「⁉」を入力して検索し、置き換えてください。

この「⁉」は欧文用のため、そのままだと横倒しになってしまいます。

横倒しになった英数字は縦中横で縦書きに直すのがセオリーですが、しっぽり明朝では和文用の字形も用意されているので、そちらを使用するようにしましょう。
「検索と置換(字形)」で「⁉」の字形を縦書き用に直す
全ての「!?」を「⁉」に置き換え終わったら、「⁉」の字形を縦書き用に直していきます。
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形でしっぽり明朝の「Unicode 2049」を指定してください。
なお、縦書き用の「!?」には斜めの字体と垂直の字体が存在します。
斜めの「!?」にしたい場合は、変換先の字形を「Unicode E005」に設定してください。

ちなみに、垂直の「!?」はUnicodeが空欄になってしまうので、「字形の置換」の字形一覧から縦書き用の垂直感嘆符を探す必要があります。

欧文用と和文用が入り混じっているので間違えやすいのですが、和文用の垂直感嘆符は字形一覧の下の方に出てきます。

字形を指定できたら、どんどん検索して置き換えていってください。
※先に「!」や「?」の字形を変換していると、「!?」を変換したいときに検索で引っかからなくなってしまうので、両方置き換える場合は必ず「!?」の処理を先に行ってください!
「!!」を縦書き用に修正する方法
「!!」を修正する場合、手順は「!?」とほぼ同じです。
「検索と置換(テキスト)」で「!!」を「‼」に直す
「検索と置換」ウィンドウの「テキスト」タブから「検索文字列」に「!!」、「置換文字列」に「‼」を入力して検索し、置き換えてください。
「‼」もそのままだと横倒しになってしまうので、②で縦書き用の字形に置き換えていきます。
「検索と置換(字形)」で「‼」の字形を縦書き用に直す
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形でしっぽり明朝の「Unicode 203C」を指定してください。
垂直にしたい場合は変換先の字形を「Unicode E002」にしてください。

「!?」のときとは逆で、「!!」は斜めの場合にUnicodeが空欄になってしまいます。
「字形の置換」の字形一覧から縦書き用の斜め感嘆符を探してください。

「!?」の垂直感嘆符と同様、斜めの「!!」は字形一覧の下の方に出てきます。

※「!!」を置き換えようとすると「!!!」や「!!!!」も検索に引っかかってしまうので、必須ではありませんが、両方置き換える場合は後述する「!!!」と「!!!!」を先に処理することをオススメします。
「??」を縦書き用に修正する方法
「??」を修正する場合、手順は「!?」や「!!」とほぼ同じです。
「検索と置換(テキスト)」で「??」を「⁇」に直す
「検索と置換」ウィンドウの「テキスト」タブから「検索文字列」に「??」、「置換文字列」に「⁇」を入力して検索し、置き換えてください。
「⁇」もそのままだと横倒しになってしまうので、②で縦書き用の字形に置き換えていきます。
※なぜか検索しても引っかからない、置き換えられないこともあるので、その場合は①を飛ばして手動で字形を変更します。
「検索と置換(字形)」で「⁇」の字形を縦書き用に直す
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形でしっぽり明朝の「Unicode 2047」を指定してください。
斜めにしたい場合は変換先の字形を「Unicode E003」にしてください。

「??」は垂直の場合にUnicodeが空欄になります。
「字形の置換」の字形一覧から縦書き用の垂直疑問符を探してください。

「!?」の垂直感嘆符と同様、垂直の「??」は字形一覧の下の方に出てきます。

「!!!」や「!!!!」を縦書き用に修正する方法
しっぽり明朝には「!!!」や「!!!!」を1文字分に収めた字形が搭載されています。
しかし、通常の変換候補には出てこないので、「!?」や「!!」のように複数の文字を1文字に置き換えて字形を変換するというやり方はできません。
原稿を書いている間は便宜上「!!!」(3文字分)で仮入力しておいて、組版時に「!」の字形を「!!!」(1文字分)の字形に置き換えるのが無難です。

「!!!」や「!!!!」の位置を検索する
「!!!」や「!!!!」が本文中のどこに含まれているか分からない場合は、「検索と置換」で場所を探します。
見つけたら「!」を1文字のみ残して、その1文字の字形を置き換えます。
「!」の字形を「!!!」と「!!!!」の字形に置き換える
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形でしっぽり明朝の「Unicode FF01」を指定してください。
斜めの「!!!」に置き換えたい場合は「Unicode E006」、垂直の場合は「Unicode E007」を変換先に設定します。

「!!!!」の場合、斜めは「Unicode E0E2」、垂直は「Unicode E0E3」です。

※「!」や「!!」の字形を先に置き換えると「!!!」と「!!!!」もそれぞれ置き換えられてしまうため、両方置き換える場合は先に「!!!」と「!!!!」の処理を行ってください!
「!」を垂直の字体に変換する方法
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形をしっぽり明朝の「Unicode FF01」、変換先の字形を「Unicode E000」に設定します。

※「!」の字体を置き換えるとUnicodeが変わって検索に引っかからなくなってしまうため、「!?」や「!!」など複数字の感嘆符も置き換えたい場合は、必ず先にそちらの処理をしてください!
「?」を斜めの字体に変換する方法
「検索と置換」ウィンドウの「字形」タブから、変換元の字形をしっぽり明朝の「Unicode FF1F」、変換先の字形を「Unicode E001」に設定します。

※「?」の字体を置き換えるとUnicodeが変わって検索に引っかからなくなってしまうため、「!?」や「??」など複数字の疑問符も置き換えたい場合は、必ず先にそちらの処理をしてください!
【おまけ】濁点付き♡の字形を変更する
しっぽり明朝には感嘆符や疑問符の他にも様々な字形が搭載されているので、字形の置換を駆使することで、より自分好みの版面を作り上げることができます。

濁点付き仮名も異体字含めてきっちり用意してあります。頼もしいです。
ちなみに濁点付き仮名はこちらのページで紹介している方法で自動的に変換されますが、なぜか♡だと上手くいきません。
そのため、感嘆符や疑問符と同様に字形を置き換える必要があります。

♡の字形には「Unicode 2661」と「Unicode E064」の2種類があります。
タイピングの変換候補で出てくるのは「2661」の方なので、変換元の字形は「Unicode 2661」を指定してください。
なお、濁点付き♡のUnicodeは濁点なし♡と一緒なので、変換先の字形を指定するときIDに「Unicode E064」を入力して検索すると、濁点なし♡がプレビューに表示されます。
「字形の置換」から字形一覧を開いて、濁点なし♡の隣にある濁点付き♡を手動で選択してください。

ちなみに字形を置き換える方法は「検索と置換」の他に、字形パレットから字形を指定するという方法もあります。
字形パレットは画面上部の「書式」タブの「字形」から開くことができます。
「検索と置換」では元の字形やUnicodeが分かっていないと置き換えることができないので、どの字形か判別できないときは、変換元の文字を選択した状態で字形パレットから任意の字形を適用しましょう。
字形変更は多少手間ではありますが、モノにすればより理想の版面に近づけることができます。
今回例に挙げたしっぽり明朝だけでなく、いろいろなフォントで使えるテクニックなので、ぜひ活用してみてください!